「裸押し合い祭りって、どうしてこんなに熱いの？」
毎年3月、新潟・浦佐の毘沙門堂で繰り広げられるこの奇祭は、見る者を圧倒する。
だが、その舞台となる「普光寺・毘沙門堂」は、実は歴史好きにはたまらない奥深い物語を秘めた場所だった——。
今回は、千年以上の歴史を持つ【浦佐・毘沙門堂】を訪れ、その成り立ちや見どころをじっくりと味わってきた。
所在地 新潟県南魚沼市浦佐２４９５ 電話 ０２５ー７７７ー２００１
参拝受付時間 ９時半〜１６時半
アクセス 浦佐駅から徒歩５～１０分 大和スマートI.Cから車で５分
【目次】
1. 毘沙門堂と普光寺の成り立ち——鎌倉時代から続く祈り
2. 見どころ① 仁王門の圧倒的な存在感と「八方睨みの龍」
3. 見どころ② 手水舎の巨大な不動明王と、湧き続ける禊の水
4. 見どころ③ 日本最古級の毘沙門天像と、坂上田村麻呂の伝説
5. 浦佐が「毘沙門天の町」となった理由とは？
6. まとめ：浦佐・毘沙門堂の歴史を肌で感じる旅へ
1. 毘沙門堂と普光寺の成り立ち——鎌倉時代から続く祈り
毘沙門堂があるのは、新潟県南魚沼市浦佐。
ここに祀られているのは、戦勝の神として知られる毘沙門天。
歴史を遡ると、この地には鎌倉時代に**「永代殺生禁断」**を広めるために建立された「普光寺」というお寺があった。
「永代殺生禁断」とは、動物の命を奪うことを禁じる令のことで、当時としては革新的な考え方だ。
つまり、普光寺は「人も動物も等しく生きる世界」を願って建てられた場所だったのだ。
そんな由緒ある寺の本堂として、鎮座しているのが「毘沙門堂」だ。
この毘沙門堂こそが、浦佐の町を見守るシンボルとなり、今なお参拝者を迎え入れている。
2. 仁王門の圧倒的な存在感と「八方睨みの龍」
まず最初に目に飛び込んでくるのは、堂々たる仁王門。
「どこかで見たことがあるような…？」と思ったら、それもそのはず。
この門は、日光東照宮の「陽明門」を彷彿とさせる重厚な造りになっている。
■ ポイント
・かつては極彩色に彩られていたが、今は風化して落ち着いた色合いに
・よく見ると、白い胡粉（ごふん）や朱色が残り、当時の色彩を想像できる
・門の天井には、江戸時代の絵師「谷文晁」が描いた「八方睨みの龍」
「八方睨みの龍」とは、どこから見ても睨まれているように見える龍のこと。
「ここを通る者を見逃さぬ」と言わんばかりの迫力で、まさに仁王門にふさわしい守護神だ。
3. 手水舎の巨大な不動明王と、湧き続ける禊の水
参道を進むと、手水舎に異様な存在感を放つ不動明王が鎮座している。
■ 特徴
・明治初期に造られた石造りの不動明王
・他では見られないほどの大きさ！
・裸押し合い祭りの禊に使われる湧き水が流れ続ける
この湧水は、祭りの際に参加者たちが身を清めるために使われる。
手を清めるだけでも、心が洗われるような気持ちになるだろう。
4. 日本最古級の毘沙門天像と、坂上田村麻呂の伝説
毘沙門堂の本尊である毘沙門天像は、なんと平安時代初期、大同2年（807年）に遡る。
この像を奉祀したのは、あの「坂上田村麻呂」だと伝えられている。
坂上田村麻呂といえば、平安時代に朝廷の命を受けて東北地方の蝦夷征伐を行った人物。
実は、田村麻呂が戦勝祈願のために建てた寺や神社は全国に点在している。
では、なぜ浦佐にも？
彼が蝦夷征伐を終えたのは、延暦20年（801年）。
都へ戻る道中、浦佐の地で戦勝を報告し、国家鎮護を願って毘沙門堂を建立したのだという。
さらに驚くべきは、この毘沙門天像を作ったのが**インドの仏工・毘首羯磨（びしゅかつま）**だったことだ。
平安時代にまで遡る毘沙門天像が、インドから伝わった仏工によって作られていたとは——。
まさに、浦佐の毘沙門堂は歴史ロマンに満ちた場所なのだ。
5. 浦佐が「毘沙門天の町」となった理由とは？
現在、浦佐は「越後の毘沙門天」として全国的に知られている。
その背景には、この町が昔から毘沙門天信仰の中心地だったことが関係している。
毎年3月に行われる**「裸押し合い祭り」**は、この信仰の象徴的な行事。
多くの男衆が「サンヨ、サンヨ！」と叫びながら押し合い、毘沙門天のご加護を願うのだ。
これは、まさに千年以上続く信仰の証と言えるだろう。
6. まとめ：浦佐・毘沙門堂の歴史を肌で感じる旅へ
浦佐の毘沙門堂は、ただのお寺ではない。
・鎌倉時代からの祈りが息づく場所
・平安時代に遡る毘沙門天信仰の中心地
・坂上田村麻呂やインドの仏工の伝説が残る歴史的遺産
歴史を感じながら参拝し、ぜひ浦佐の「毘沙門天の町」としての魅力を体感してみてほしい。
参考資料
越後浦佐 毘沙門堂 別当 吉祥山 普光寺 パンスレット
上記のHP
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